2012年08月24日
ゲルバーのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 「悲愴」「月光」「熱情」
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ゲルバーのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集のなかから有名な3大ソナタを集めた盤。
ゲルバーのベートーヴェン弾きとしての適性、相性の良さを十分に感じさせてくれる名演である。
技巧、音楽性、表現力ともに優れたゲルバーのベートーヴェンはのびのびとした豊かさにあふれており、重量感ある美しい響きで描き出されるドラマティックな展開に魅了される。
「悲愴」、「月光」の終楽章や、「熱情」の第1及び終楽章の雄々しく男性的な打鍵の力強さ、「悲愴」の第2楽章や「月光」の第1楽章の繊細な抒情、これらを厳しい造型の中でスケール豊かに表現している。
テンポも目まぐるしく変わり、最強奏と最弱音のダイナミックレンジも極めて幅広いが、ゲルバーの厳格なスコア・リーディングと、ベートーヴェンとの相性の良さにより、恣意的な表現がどこにも見られず、ベートーヴェンの音楽の魅力がダイレクトに伝わってくる。
往年の巨匠を受け継ぐスケールの大きい造型美、その中で情熱、叙情、幻想といったベートーヴェン演奏に求められる感情が深く崇高に弾き込まれている。
圧倒的な迫力を誇るゲルバーのピアニズムの一つの到達点とも言える演奏である。
彼はレパートリーが狭いし、結局本当の評価を得られないままだったかもしれないけれど、コンサートを聴く限り、これほどの満足感を与えてくれたピアニストはいなかった。
とりわけ、筆者は彼のベートーヴェン、ブラームス、シューマンが素晴らしいと思う。
人は巨匠名人と呼ばなくとも筆者にとっては大切な名ピアニストである。
沢山のピアニストをこれまで聴いてきたが、ゲルバーは最も才能を感じさせる一人であったことを付記しておく。
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