2012年08月25日
マゼール&ウィーン・フィルのラヴェル:管弦楽名曲集
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マゼールはオーケストラを音楽的に煽り立て、聴き手を興奮させるのが巧みな、いわば"演出"に長けた指揮者といっていいだろう。
それが彼の音楽的共感の反映なのか、それとも職業的経験がなせる業なのか、判断しかねるけれど、多分両々相俟ってそうなるのではないか。
ただしここでのマゼールは、オーケストラを煽るのではなく、その自発性を引き出そうとしているかのよう。
名門集団は煽らずとも音楽的成果を上げ得ると確信していたからに違いない。
従って演奏全体には、いつもの彼より悠揚とした感じが漂っているような気がする。
フランス風のエスプリでもなければ、ラヴェルのスペイン趣味も聴かれない、鬼才マゼールの独壇場!
しかし一度聴いたらもう二度と忘れられないマゼール&ウィーン・フィルのラヴェル。
全曲通して、悪夢を見ているような濃厚さが強烈そのもので、これは、鬼才マゼールならではの個性的なラヴェルである。
もっとも《ラ・ヴァルス》と《ボレロ》は、いつものマゼールだ。
ただ、ウィーン・フィルのどこまでも美しく繊細で、なおかつ最強奏になっても決して気品を失わない演奏が、本盤の演奏を過激なものとしてしまう寸前で止める結果になっていると言える。
したがって、いわゆる名演というのには躊躇するが、ひと味もふた味も違う個性的なラヴェルを味わえるという意味では、一聴の価値が十分にあるものと考える。
ラヴェルの曲に落ちた黒い影を異常なまでにえぐり出した面白い1枚である。
SHM-CD化によって、相当な音質改善が図られているように感じた。
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