2012年09月07日
パーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
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パーヴォ・ヤルヴィによるベートーヴェンの交響曲全集の最後を飾る名演だ。
これまでの8曲の中には、古楽器奏法とかベーレンライター版の楽譜に固執するあまり、いささかやり過ぎの曲もあったが、この「第9」は、バランスのとれた名演に仕上がっている。
この俊敏さ、軽やかさ、躍動感が、今までに筆者が慣れ親しんだ重苦しい演奏の記憶を洗い流してゆくようだ。
第1楽章の冒頭のヴァイオリンはいかにも弱いが、主部に入ると次第にいつものパーヴォ節が全開。
ラストのティンパニの雷鳴のような轟きは圧倒的な迫力であり、テンポは快速ながら決して荒っぽさは感じられない。
第2楽章は、本名演の白眉であり、パーヴォの解釈と曲想が見事に符合、テンポといい強弱といい理想的な超名演。
第3楽章もテンポは相変わらず速いが、そのような中で、抒情的な優美な旋律を心をこめて歌い抜く。
終楽章は第3楽章の終結部から間髪入れず開始されるが、これはパーヴォならではの独創的な素晴らしい解釈。
テンポはこれまでの楽章に比べると、幾分落ち着き、中庸と言ってもいいテンポ設定であるが、決して冗長には陥っていない。
独唱もいずれも巧く、合唱陣も規模は小さいと思われるが、十分な迫力を有しており、これらが渾然一体となった演奏は、我々を深い感動を誘う。
最近録音された「第9」の中でも、極めて高い完成度を誇る1枚ではないだろうか。
SACDマルチチャンネルによる高音質録音はいつもながらすばらしく、パーヴォの独創的な解釈を鮮明に味わうことが可能である。
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