2012年08月29日
マーツァル&チェコ・フィルのマーラー:交響曲第1番「巨人」
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マーツァルのマーラーは、第1弾〜第3弾となった「第5」、「第3」、「第6」は大変な名演であり、その後のシリーズを大いに期待したが、それに続く演奏も決して悪い演奏ではないものの、マーツァルにしてはやや低調な出来が続いていたような気がする。
しかし、この「第1」は、マーツァルの純音楽的なアプローチが曲想に符合していることもあり、「第6」以来の名演であると言える。
今までさまざまな「第1」を聴いてきたが、およそ作為的要素のない、自然な仕上がりで、みずみずしさがあり、またあちらこちらに美しい瞬間があり、まるでチェコやボヘミアの美しい田園地帯を想像させる。
マーツァルのマーラーは、バーンスタインやテンシュテットのような劇的な演奏、カラヤンのような耽美的な演奏、ショルティのような鋭角的な演奏と言うような、一言で言い表すことが可能な特徴があるわけではないが、オーケストラを無理なく鳴らし、曲想を伸びやかに歌い上げる点が素晴らしい。
いい意味でのローカル色が残るチェコ・フィルと組んでいることもプラスに働いていると思われ、この「第1」でも、最強奏から最弱音に至るまで表現の幅は実に広く、特に、最強奏における金管楽器の光彩陸離たる響きは、幻惑されるような美しさだ。
チェコ・フィルも実にいい風合いで、いつもながら弦楽器の質感が伝わってくるような美しさは特筆ものであろう。
バーンスタインやテンシュテットの超絶的ライヴと比べると物足りない部分もあるが、この曲を美しくまとめたマーツァルの手腕は高く評価されよう。
マーツァルはノイマンと同じく、恣意的なことはしない指揮者だ。
ひょっとしたら、晩年のノイマン(神々しかった)を超えるかもしれないと期待している。
SACDによる高音質録音も実に水準の高いものであり、本盤の価値をさらに高めることに貢献している。
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