2012年09月06日
シャイー&ゲヴァントハウス/メンデルスゾーン・ディスカヴァリーズ
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2009年1月22日-23日 ライプツィヒ、ゲヴァントハウスでのデジタル(ライヴ)録音。
2009年はメンデルスゾーン(Felix Mendelssohn Bartholdy 1809-1947)の生誕200年であり、いくつかの企画モノが発売されたが、中でもこれは注目盤。
メンデルスゾーンのオーケストラ作品は交響曲第5番「宗教改革」を除けば全てに異稿の存在が有り、愛好家の悩みの種になっている。
メンデルスゾーンは優美で、哀愁に満ち溢れた美しいメロディを生み出す作曲家であるというのが定評であるが、本盤はそうした印象を覆すのに十分な一枚だ。
それは、「スコットランド」のロンドン稿の使用などに見られるように、できるだけ初稿を選択したことにあると思われる。
「スコットランド」は、特に第1楽章や第4楽章など、相当に荒削りな箇所が散見されるが、シャイーは、それをオブラートに包んだりすることなく、あくまでも正攻法のアプローチを行うことによって、メンデルスゾーンの初稿に如実に表れていた荒ぶる感情の高まりや激しさをダイレクトに聴き手に伝えてくれる。
したがって、ライヴならではの熱気と相まって、やや音に濁りが見られるなど、いささかやり過ぎが懸念されるきらいがないとは言えないが、全体としては、メンデルスゾーンをこよなく愛したシャイーならではの佳演と評価することができよう。
「ヘブリディーズ諸島」も、ローマ稿を採用するなど、「スコットランド」と同様の性格の佳演だ。
他にも、ピアノ協奏曲第3番など、知られざる曲が併録されており、本盤の価値をより一層高めることに貢献している。
ライプツィヒに移ってからのシャイーの仕事にはレコード会社の思惑と指揮者の趣味が一致しているのか、演奏・録音ともに優秀なディスクが次々と発売されている。
メンデルスゾーンの作品には異稿が多く、改訂版が必ずしも「改正」になってはいない処に特徴があるので、それを理解した上でこのCDを購入されれば、この盤の価値がどれほど貴重であるかがお分かり頂けると思う。
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