2012年09月08日
ルービンシュタインのシューマン:クライスレリアーナ&幻想曲ハ長調
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少年時代に、シューマンの友人であったヴァイオリニストのヨアヒムから薫陶を受けたルービンシュタインは、生涯を通じてシューマンの作品に強い共感を抱き、自家薬籠中のものとしていた。
当盤収録の2曲はいずれもルービンシュタイン生涯唯一の録音で、シューマンの作品に内包されたファンタジーとロマンティシズムが、心技とも最も充実していたルービンシュタインが紡ぐ豊かな音色で描き出されてゆく。
ルービンシュタインの芸風は、シューマンのピアノ曲との相性が抜群のようだ。
本盤を聴くとそれがよくわかる。
特に、「幻想曲ハ長調」でそれが顕著であり、この曲の持つ文字通りの幻想的でかつロマン的な香り立つ叙情を、極上のピアニズムで歌いあげている。
テンポ設定もごく自然体であり、恣意的な解釈はどこにも見られない。
もちろん、ルービンシュタインならではの同曲への解釈やアプローチの仕方はあるのだろうが、そうしたピア二ストの個性よりも、「幻想曲ハ長調」の美しさ、素晴らしさだけが伝わってくる。
これは、ルービンシュタインが同曲の本質を捉えきっていること、そして、ルービンシュタインの芸風と楽曲が符合しているからに他ならないと思われる。
まさに、作曲者と演奏者の最高の幸福な出会いがここにある。
他方、「クライスレリアーナ」も名演というべき出来なのだが、こちらの方が、「幻想曲ハ長調」ほどの高みには達しておらず、隋所にルービンシュタインのこう考えるという解釈が滲み出ている。
それが普通ではないかと言われればそれまでであるが、ルービンシュタインほどの巨匠、そしてシューマンとの相性の良さを考慮に入れると、もう一段上の演奏が出来たのではないかと、少々高望みをしたくなる。
Blu-spec-CD化により、音質のグレードが相当にアップし、名演を高音質で味わうことができることになったことを大いに喜びたい。
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