2012年09月28日
ヴァント&ミュンヘン・フィルのブラームス:交響曲第1番/ベートーヴェン:交響曲第1番
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巨匠ヴァントが最晩年に残したミュンヘン・フィルとのきわめつけのライヴ。
ブラームスの「第1」は、全集となった手兵の北ドイツ放送交響楽団との名演の1年後の録音であり、基本的な解釈は変わらない。
眼光紙背に徹した厳格なスコア・リーディングの下、凝縮された緻密な職人芸の演奏を繰り広げているが、決して血も涙もない演奏ではない。
それどころか、随所に人間的なぬくもりがある個性的解釈が見られる。
第1楽章は誰よりも快速の序奏で開始されるが、主部に入ってからは幾分テンポを落とし、歌うべきところは優美に歌いあげている。
第2楽章は実に繊細なタッチで開始されるが、その抒情の豊かさは、最晩年のヴァントならではの至高・至純の境地と言えるだろう。
第3楽章の導入部では再び快速のテンポに転じ、そして個性的なのは終楽章。
特に、低減による主旋律が厳かに奏された後の全強奏による猛烈なアッチェレランドは、他の演奏では決して見られないもの。
そして、終結部の低減の濃厚な表情づけも効果的であり、ヴァントにもこのような個性的な指揮をすることがあったのかと驚かされる。
ヴァントと同じく職人肌の指揮者であったケンぺも、ミュンヘン・フィルと同曲を録音しているが、演奏の性格は全く異なる。
質実剛健のケンぺに対して、ヴァントの方がより柔軟性があり、チェリビダッケのオーケストラを見事に統率して、自分の思い通りの個性的な名演を成し遂げたヴァントを大いに讃えたい。
ベートーヴェンの「第1」も、第1楽章のゆったりとした序奏に続く主部を快速で演奏して、緩急の差を強調させたり、第2楽章を誰よりも優美に歌いあげるなど、これまたヴァントの個性的解釈を味わうことができる名演である。
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