2008年03月29日
グルダ&シュタインのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番、第4番
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2000年の2月に惜しまれつつ世を去ったグルダが残したベートーヴェンのピアノ協奏曲全集からの1枚。
劇的な「第3」や優美な「第4」だと、鬼才の名を欲しいままにしているグルダのこと、より個性的なアプローチをとるのかと思いきや、初期の2曲と同様に、あくまでも自我を抑え、オーソドックスな正統派のアプローチに終始している。
もちろん、だからと言って物足りないということは全くなく、強靭な打鍵から繊細なタッチまで、確かな技量をベースとしつつ表現力の幅は実に幅広く、「第3」と「第4」の性格の全く異なる両曲の描き分けも巧みに行っている。
特に「第4」が美しい。
この曲の演奏の中でもベストを争うものだろう。
精神性、テンポの変化、スフォルツァンドや左手の動かし方、振幅の大きなダイナミクスなど、ベートーヴェンが書いた曲想を極限まで突きつめており、透明なタッチの美麗さ、香るような音楽性は抜群といえよう。
「第3」の方は柔軟さを意識しすぎ、やや線の細い演奏になっているが、知性と情感の双方を生かしたユニークな解釈といえよう。
シュタインの指揮は重厚で巨匠風の堂々たる彫りの深い指揮ぶりでグルダをぴったりとフォローしている。
ウィーン・フィルは、どんなに最強奏しても、決して美感を失うことはなく、どの箇所をとっても高貴な優美さを損なうことはない。
これら独奏者、オーケストラ、指揮者の3者が揃った演奏は、過去の「第3」や「第4」の名演の中でも、上位にランキングされるものと思われる。
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