2008年03月30日
グルダ&シュタインのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」
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ベートーヴェンの解釈で高い評価を得ているウィーン生まれの名ピアニスト、グルダが録音した協奏曲全集・ソナタ全集からのカップリング。
グルダ、ウィーン・フィル、そしてシュタインという素晴らしい組み合わせによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の有終の美を飾る堂々たる名演である。
グルダの基本的なアプローチは正統派のオーソドックスなもので、第1〜第4の場合とは特に変わりはない。
ただ、曲が「皇帝」だけに、全体に重厚かつ悠然とした自信に満ち溢れた演奏をしており、ウィーン・フィルの高貴かつ優美な演奏と、シュタインの巨匠風の堂々たる指揮が見事にマッチして、珠玉の名演に仕上がっている。
「皇帝」は繊細なタッチと感受性で精妙に造形された名演だ。
グルダは全音符を少しも弾きとばさず、音色は常に冴えわたっている。
まさに計算されつくした妙音といえよう。
グルダはスタインウェイ・ピアノではなく、ベーゼンドルファーを用いて、軽くしなやかな音色を駆使して、きらめくような明るいベートーヴェンを堪能させる。
ジャズをも得意にする彼は、リズム感が実に優れていて音楽的なことこの上ない。
そしてスタッカートの見事な使い分け、ペダルの微妙な変化、味の濃いルバートやリタルダント、心からのカンタービレや激しい気迫にも欠けることなく、絶えず新鮮な音楽が鳴っている。
シュタインの緊張感に溢れた充実した表現も素晴らしく、これは永遠に残しておきたいと思う。
余白に収められた「テンペスト」は、後年のアマデオ盤と比較するとイマイチの出来のような気がするが、端正かつ豊饒な演奏で、若き日のグルダの芸風を推し量る意味では貴重な記録であると言える。
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