2012年10月17日
ゲルギエフ&ロンドン響のプロコフィエフ:ロメオとジュリエット(全曲)
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プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」は、最近ではコマーシャルで採り上げられたり、NHKの番組でも放映されたりするなど、急速に有名になりつつあるが、殆どは組曲の形で演奏されるのが主流であり、全曲録音は未だに稀少な存在だ。
かつては、マゼール&クリーヴランド管弦楽団の名演があったが、それ以降は、あまりめぼしい録音に恵まれなかったところである。
そのような中で久々に登場した本盤のゲルギエフの全曲録音は、そんな長年の渇きを癒すのに十分な名演だと思う。
ゲルギエフは、この膨大な全曲の各場面を、実に丁寧に描いていく。
予想通りプロコフィエフらしいグロテスクと紙一重の毒気はほどよく解毒されているが、それでもゲルギエフならではの渾身の熱演。
どちらかと言えば、ゲルギエフには、例えばストラヴィンスキーの「春の祭典」などにも示したように、もっとロシア風のあくの強い演奏を期待したいところであるが、本盤は、それを封印して、優雅にして高貴なバレエ音楽をイメージして演奏したのではないかとも思えるほどの柔和さを示している。
しかし、これほど精緻に、そして丁寧に、各場面を描き尽くした演奏は立派というほかはないと言うべきであり、決して物足りなさを感じさせることはなく、名演として高く評価したいと考える。
ゲルギエフは世評のようなカリスマなのではなく、実は本来極めてオーソドックスな指揮者なのだ。
これを聴くと、音だけでなく踊りを楽しむと同時に振り付けと音楽のマッチングもゲルギエフ&キーロフ・バレエで観てみたいという思いに駆られる。
滑らかさとダイナミズムを併せ持ったSACDマルチチャンネルによる高音質録音も、この名演に華を添えている。
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