2012年10月29日
ビエロフラーヴェクのヤナーチェク:歌劇「ブロウチェク氏の旅」
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2007年2月25日 ロンドン、バービカン・センターでコンサート形式で行われた上演のライヴ録音。
「ブロウチェク氏の旅」はなかなかの名作だとは思うが、数々のヤナーチェクのオペラの中にあっては、「利口な女狐の物語」や「イエヌーファ」などに比して、知る人ぞ知る存在に甘んじている。
主人公であるブロウチェクが月に旅したり、フス戦争時代の15世紀に旅をしたりするなど、きわめて奇想天外なストーリーであり、特に、第1部の多くの芸術至上主義者が登場する箇所の筋立てが相当に複雑であり、それ故に、あまり親しみを持って迎えられていないのかもしれない。
しかしながら、一人二役や三役といった、登場人物に伏線を設けている点や、モラヴィアの音階を巧みに取り入れた実に美しい民謡風の繊細な音楽など、ヤナーチェクの個性が満載の魅力作であると言うべきであり、本盤登場までは、輸入盤を含め入手できるCDすら市場にないというのは実に悲しむべきことであった。
そのような中で、本盤の、しかも国内盤の登場というのは、大いに歓迎すべき快挙であると言える。
チェコ出身のビエロフラーヴェクの指揮は、同国人のヤナーチェクへの深い愛着が溢れる感動的なものであり、BBC交響楽団や歌手陣、合唱団も最高のパフォーマンスを示している。
まるでチェコ・フィルのように統率が取れ、シルクの肌触りような弦楽器がここにあり、管・打楽器が軽いのはロンドンのオケの常なので仕方あるまい。
とはいえ、その上質に磨かれた弦楽器が織り成す和声は、全てが抗し難い魅力だ。
演奏終了後の圧倒的な拍手喝采も、当日の深い感動を示していると言える。
この組み合わせで、ヤナーチェクの他のオペラ録音を聴いてみたいと思ったのは、筆者だけではないのではあるまいか。
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