2012年11月05日
トスカニーニ&NBC響のショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」/バーバー:弦楽のためのアダージョ
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ショスタコーヴィチの「第7」はトスカニーニによるアメリカでの初演の歴史的記録である。
トスカニーニのショスタコーヴィチは、今では偽書であるとされているものの、一時は一斉を風靡したヴォルコフの「ショスタコーヴィチの証言」によって、ボロカスに酷評されている。
ショスタコーヴィチ曰く、テンポといいリズムといいすべてが間違っていると評しており、これによって、証言をバイブルのように信奉する人など、本演奏を歯牙にもかけていなかったところである。
しかし、証言が偽書であるか否かにかかわりなく、いかなる楽曲も作曲者の手を離れると単なるスコアに過ぎず、絶対的に正しい演奏など存在しないのではないか。
例えば、多くの聴き手に感動を与えるフルトヴェングラーのベートーヴェンも、果たしてベートーヴェンが評価したかどうかはわからないのである。
筆者は、本演奏を、ファシズムに対して一切の妥協を排して批判し続けたトスカニーニならではの鬼気迫る歴史的名演と評価したい。
初演でありながら、これほどまでに説得力のある演奏を成し遂げるトスカニーニの類まれなる才能と情熱には感服するほかはない。
ショスタコーヴィチの「第7」は、バーンスタインの演奏が非常に世評高いが、この交響曲の持つ真の意味を表現している点ではトスカニーニの表現にいささかの抜かりはなく、この交響曲の持つ意味を深く抉り出そうという彫りの深い表現を行っている。
バーバーの「弦楽のためのアダージョ」編曲版の初演者であるトスカニーニの演奏は、やはり聴き逃せないだろう。
強く引き締まり、大きくうねる演奏は、しなやかに澄んだ抒情をたたえており、その深々とした表現は、作品に対する巨匠の愛着を真摯に示している。
音の状態は決して良くないが、戦時中の録音ということを考えると、信じられないようなオーケストラの圧倒的な力感を感じさせてくれるのが見事である。
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