2012年11月12日
ユンディ・リのショパン:ノクターン全集
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ユンディ・リがショパン国際コンクールで優勝したのは2000年。
本盤は、ユンディ・リがEMIに移籍して初録音のアルバムであるが、これはまさに満を持して臨んだノクターン全集と言えるだろう。
ショパンのノクターンは、スケルツォなどの激しさは薬にしたくもなく、どこまでも優美なロマンティシズムを湛えた楽曲集である。
それ故に、技量だけで勝負すると、うわべだけを取り繕った浅薄な演奏に陥ってしまうし、かと言って心を込め過ぎると、チープなムード音楽と化してしまう危険性がある。
それだけにアプローチが大変に難しい楽曲と言えるところであり、こうしたノクターンを節目の年の初録音に選択したところに、ユンディ・リの並々ならぬ決意と自信のほどが伺えると言える。
そしてその結果は、そのような自信が決して空回りしない名演に仕上がっていると評価したい。
ユンディ・リは、ショパン・コンクールに優勝するだけの抜群のテクニックを有してはいるが、それよりは、東洋人ならではの繊細なリリシズムを特徴とした優美な芸術性を売りにしたピアニストである。
それだけに、ノクターンのような楽曲には、その芸風が見事に符合し、芸術性において、他のピアニストの追随を許さないような高水準の演奏を行っていると言える。
曲によって出来にムラがないのも見事であり、どの曲にも、ユンディ・リのこの曲はこう解釈するという確信に満ち溢れているのが素晴らしい。
ショパンの、いやユンディ・リの若い感性が見事に発揮された名演となっている。
もちろん美しいだけだなく、聴き手を飽きさせない芯の通った表現、演奏であることは間違いない。
加えて高音質録音も、ユンディ・リの繊細なタッチを見事に再現することに貢献している。
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