2012年11月13日
エデルマンのリスト:ピアノ・ソナタ&シューベルト:さすらい人幻想曲
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エデルマンが満を持して録音に臨んだリストのピアノ・ソナタロ短調である。
カップリングに、対照的な性格のシューベルトの「さすらい人幻想曲」を配したのも、エデルマンの強いこだわりが感じられる。
リストのピアノ・ソナタは、とにかく凄い演奏だ。
名演であるが、いわゆる凄演と言った表現が適切なのかもしれない。
リストのピアノ・ソナタは、強弱のダイナミズムや緩急自在のテンポが駆使され、しかも、超絶的な技巧を要することから、古今の著名なピアニストの目標とする楽曲の一つとされてきたが、エデルマンは、こうした過去の名演に引けを取っていない。
一般にロシア系のピアニストのリスト演奏はダイナミクスの強弱変化が大きく、その分不自然なアゴーギクも鼻につく場合が多いが、エデルマンの場合はダイナミクスこそ凄まじいものの、テンポの揺れは少なく、これみよがしの恣意的な表現も無いので安心して聴くことができる。
冒頭の雷鳴のような重厚で力強い打鍵とその後に続く詩情豊かさ。
これらを抜群のテクニックをベースにして、まさに入魂の演奏を繰り広げている。
切れば血が出るような生命力溢れる演奏と言うのは、まさにこのような凄演のことを言うのだと思う。
録音は、SACDであるが、マルチチャンネルは入っていない。
にもかかわらず、これだけ臨場感溢れる音響がするのは、録音が素晴らしいだけでなく、エデルマンの演奏がそれだけ優れていることの証左であると考える。
他方、シューベルトの「さすらい人幻想曲」も名演だ。
この曲は、後年のピアノ・ソナタの傑作群に繋がっていく作品であるが、エデルマンは、各楽章の描き分けなど実に巧みに行っており、シューベルト特有の豊かな抒情の歌い方にもいささかの不足はない。
このような名演を聴いていると、エデルマンのシューベルトのピアノ・ソナタの演奏も聴きたくなったのは筆者だけではあるまい。
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