2012年11月15日
ムター・プレイズ・メンデルスゾーン
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最近のムターの録音・録画物としては出色のものである。
ムターは、1980年にカラヤン&ベルリン・フィルとメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を録音しているので、本盤は約30年ぶりの録音ということになる。
演奏は、約30年前の旧録音が、終始カラヤンのペースで演奏されたというイメージがあったが、本盤は、ムターの個性が全開の円熟の名演であると評価したい。
有り余る演奏の中、あらためてこのポピュラーな曲にビロードのような色と艶を吹き込んだ演奏である。
ムターならではの大らかさの中にも、繊細な抒情に満ち溢れている。
バックは、マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。
マズアの指揮は、ベートーヴェンや特にブラームスの協奏曲では、いかにも薄味の伴奏と言った趣きであった(オケはニューヨーク・フィルであったが)が、本盤では、楽曲がメンデルスゾーンの協奏曲だけに、そのような問題点はいささかも感じられなかった。
まさに、ムターとマズアの楽曲への思いが通じ合った会心の名演と言っても過言ではなく、更に、メンデルスゾーンゆかりのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のいぶし銀の音色が、演奏に重厚さを添えることになっている点を忘れてはならないだろう。
室内楽も今まで意識して聴いたことがなかったが、素晴らしい曲でこれを世に広めたムターとプレヴィンに敬意を表する。
ピアノ三重奏曲やヴァイオリン・ソナタは、プレヴィンやハレルとともに、実に息の合った名演奏を繰り広げており、特に、ピアノ三重奏曲の終楽章の地響きがするような重厚なド迫力には、完全にノックアウトされてしまった。
ボーナストラックの「春の歌」は、ムター&プレヴィンの仲睦まじさに思わず微笑んでしまうような名演奏であり、名演揃いの本盤の締めくくりに相応しい温かみを湛えている。
なぜか誤解する人もいるが、ムターは現代最高のヴァイオリニストの一人であることには間違いはない。
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