2012年12月03日
ジンマンのマーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」
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ジンマン&チューリヒ・トーンハレ管弦楽団によるマーラー・チクルスがようやく完成した。
本盤の「第8」は、「第7」の録音から1年のブランクを置いて録音されたものであるが、満を持して録音されたものだけに、その期待にたがわない名演となった。
演奏内容は相変わらずジンマンの指揮がマーラーの特性をよく捉えており、些かの気の緩みもない。
特に、素晴らしいと思ったのは第2部。
「第8」は、第1部があまりにも賑々しいために、それとの対比を意識するあまり、第2部(特に、冒頭部)をいかにも弱々しく演奏し、それ故に、殆ど聴き取れないということもよくあるが、ジンマン盤ではそのようなことはない。
SACDマルチチャンネルによる高音質録音ということも多分にあるとは思うが、実に明快で精緻な演奏を心がけているように思う。
そして、この長大な第2部を、決して冗長に陥らせることなく、場面ごとの描き分けを適切に行い、全体を一大叙事詩のようにスケール雄大に演奏している点を高く評価したい。
他方、第1部は、録音にやや濁りがある点が惜しい。
合唱にやや濁りが見られる点で、このあたりは、大編成の楽曲故の録音の難しさなのかもしれない。
しかしながら、演奏自体は、第2部ほどではないものの、高い水準で纏まっていると言える。
但し、往年のマーラー指揮者、例えばショルティやバーンスタイン、テンシュテットらは、ずいぶんと力強く演奏者を引っ張って最高の高揚をもたらしていたが、もはやそういうタイプの演奏は今や途絶えてしまったのかもしれない。
いずれにしても、トータルの評価として、他のマーラーの交響曲もジンマン&チューリヒ・トーンハレ管弦楽団で聴いてみたいと思わせるだけの出来映えである名演と言えよう。
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