2012年12月01日
ルプー&メータのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
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リリシストとか美音家として知られる名ピアニストであるルプーと、パワフルな指揮ぶりで知られるメータの組み合わせ。
芸風が全く異なる両者によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集であるが、完全にルプーペースの演奏に仕上がっていると言える。
その意味では、メータは、あくまでもルプーの支え役に徹していると言える。
ルプーペースの演奏というだけあって、これほどまでに美しいベートーヴェンのピアノ協奏曲は過去にも例を見ないのではなかろうか。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲だけに、重厚さであるとか、力強さなどを売りにする名演が多いが、ルプーの手にかかると、そのような点は薬にもしたくはない。
それでいて、軟弱さは皆無であり、むしろ、ベートーヴェンの威圧の対象にしていない点を高く評価すべきであろう。
ルプーの大理石のような硬質なタッチは透明で粒が揃い、極上の瑞々しさをもったピアニズムで、音色は完璧なまでに磨き抜かれ、全ての音が透かし彫りのように聴こえてくる。
どんなに最強奏をしても、音が割れたり、無機的になるということはいささかもなく、フォルテが連続する楽句でも演奏は常に明晰であり、あたかも星がきらめくような美麗さに満ち溢れていると言える。
そして、それが決して表面的な美しさにとどまっていない点も特筆しておかなければならない。
どの箇所も、美しさの中に豊かなニュアンスが込められていて、そのデリケートな緻密さが素晴らしい。
匂うように美しいハーモニーを武器としながら、やるべきことはすべてやりつくした模範的解釈である。
メータの指揮は若々しい力を前面に押し出した力強いものだが、一方で落ち着いた情感もあり、清々しい余韻を残す。
SHM−CD化により、ピアノ曲との相性の良さも相まって、音質がかなりグレードアップしているのは嬉しい限りだ。
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