2012年12月07日
キタエンコ&ケルン・ギュルツェニッヒ管のチャイコフスキー:マンフレッド交響曲
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これはこの曲の決定盤と言ってもいい、素晴らしい名演の登場だ。
何よりも、この曲の特徴をがっしりととらえ、その上でこの曲の魅力をあますところなく再現して見せた、キタエンコの偉大な手腕に尽きる。
マンフレッド交響曲は、チャイコフスキーの後期の作品であるにもかかわらず、後期3大交響曲(第4番〜第6番)と比較するとあまりにも評価が低いし、それに比例して、録音の点数も著しく少ない。
チャイコフスキー自身がこの作品に満足していなかったということもあるが、作品の質を考えると残念な気がしないでもない。
私見ではあるが、このような評価の低さは、演奏のせいではないかと考えている。
チャイコフスキーの交響曲全集を完成させた過去の指揮者の中でも、マンフレッド交響曲を併せて録音した指揮者は限定的であるが、後期3大交響曲で示した水準の名演を成し遂げた例は殆どないのではないかと考えている。
そのような中で、キタエンコによる名演が登場したのは何という幸せであろうか。
この曲に不可欠の重心の低い演奏であり、そのド迫力(特に、第1楽章の終結部)は、ロシアの悠久の広大な大地を思わせるような強靭さだ。
それでいて、第2楽章や第3楽章のメランコリックなロシア的抒情も美しさの極みであり、不当に評価が低いこの交響曲の偉大さを再認識させるに十分に足りる素晴らしい名演と高く評価したい。
こうして聴いてみると、マンフレッド交響曲が、番号付き交響曲と何ら遜色ない傑作であることが納得できよう。
そして何よりも素晴らしいのはSACDマルチチャンネルによる極上の高音質録音で、この名演の価値を更に高めることに大きく貢献している。
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