2012年12月08日
ルプー&デ・ワールトのブラームス:ピアノ協奏曲第1番
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ルプーの繊細な感受性によって、この曲の抒情性と古典的な均整美が磨きあげられ前面に出ている演奏として話題となった1枚。
ルプーはリパッティと同じルーマニア出身のピアニストでモーツァルト、シューベルトなどを主なレパートリーとして活躍していたが、最近あまり新盤が出ないのは寂しい限りである。
ブラームスのピアノ協奏曲第1番は、ブラームスの青雲の志を描いた若き日の作品であるが、ピアノパートだけでなく、オーケストラについても分厚く作曲されており、あたかもピアノ伴奏つきの交響曲の様相を呈していると言える。
それだけに、過去の名演、例えば、ルービンシュタイン&メータ(イスラエル・フィル)や、ブレンデル&アバド(ベルリン・フィル)は、いずれも重厚でシンフォニックな性格の名演であった。
ところが、本盤は、これらの名演と比較すると、かなり性格が異なっていると言わざるを得ない。
もちろん、第1楽章の終結部や終楽章など、力強さにおいていささかの不足もないが、全体としては、抒情的で繊細さが支配していると言える。
ルプーのピアノはどんなに最強奏の箇所でも、優美さを失うことはなく、特に、第2楽章の美しさは出色のものであり、ブラームスの若き青春の日々の傷つきやすい繊細な心根を表していると言えるのかもしれない。
さすがはリリシストであるルプーの面目躍如と言ったところだと思われる。
こうしたルプーのピアノに、デ・ワールト&ロンドン・フィルは、ルプーの資質を生かした見事な合わせ方をしており、独墺系の指揮者やオーケストラとは一味もふた味も違った抒情的な演奏を行っていると言える。
1974年の録音が、SHM−CD化によって、わすかではあるが、音質がやや鮮明になった点も高く評価したい。
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