2012年12月18日
パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送響のマーラー:交響曲第2番「復活」
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今をときめくP・ヤルヴィが、ついにマーラーチクルスを開始したのは大いに歓迎である。
その実質上の第1弾となった本盤のマーラーの「第2」の登場だ。
結論から言えば、かのバーンスタイン盤の登場以来、もっとも衝撃的な演奏、すなわち最近の演奏の中では最高級の賛辞で称えたい演奏、と言ってしまっても過言とは思えない。
フランクフルト放送交響楽団は、マーラー指揮者として名声を既に確立しているインバルと、マーラーの交響曲全集を完成しているが、P・ヤルヴィの演奏とは全く異なる演奏に仕上がっていると言える。
インバルは、燃えるような熱いパッションを胸に秘めつつ、表面上は、可能な限り抑制的な表現を行うというアプローチであったが、P・ヤルヴィの演奏は、緻密な制度設計を旨とする演奏と言えるのではないか。
筆者も、これまで様々な指揮者でマーラーの「第2」を聴いてきたが、これほどまでに精緻な演奏にはお目にかかったことがない。
ダイナミックレンジも、例えば、第2楽章や終楽章の合唱導入部の殆ど聴き取れないような最弱音から、第3楽章や終楽章の終結部のような大音響に至るまで非常に幅広いが、割れた音や無機的な音はいささかも聴かれない。
要は、どんなに最強奏しても、優美さを失うことはないのである。
テンポもアンサンブルも、一糸乱れぬ正確さであり、筆者は、ここにP・ヤルヴィの類まれなる統率力と抜群の音楽性を感じるのである。
確かに、テンシュテットやバーンスタインの劇的な名演に慣れた耳からすると、いささか静的に過ぎ、やや迫力不足を感じさせるのも否めないが、本演奏は、そうした20世紀の後半に主流となった激しい動的なマーラー像へのアンチテーゼとして、21世紀における新しいマーラー像を打ち立てたと言う意味において、将来的にも大変意義のある名演と高く評価したいと考える。
今後のP・ヤルヴィのマーラーチクルスの動きには目を離すことができない。
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