2012年12月22日

アーノンクールのガーシュウィン:歌劇「ポーギーとベス」(全曲)


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2009年 シュティリアルテ音楽祭での演奏会形式上演のライヴ・レコーディング。

ピリオド楽器による古楽器奏法などで名を馳せた老匠アーノンクールが、近現代のアメリカ音楽の旗手であるガーシュウィンのオペラを指揮するというのは、いかにもアンバランスな組み合わせのような印象を受けたが、ライナーノーツのアーノンクールによる解説の中で、ベルクの『ヴォツェック』との親近性や自筆譜や演奏資料などを参照した上でのオリジナルへのこだわりが触れられており、それを読んで、漸く、アーノンクールがこのオペラに挑戦した意味を理解した。

そして、実際に聴いてみたところ、大変感動したと言わざるを得ない。

『ポーギーとべス』には、マゼール&クリーヴランド管弦楽団という今や古典的とも言える超名演があるが、それとは一味もふた味も違った名演に仕上がっていると言える。

リズムやテンポ切れ味の鋭さはアーノンクールならではのものであるが、このオペラ特有の、場面毎の音楽が、ジャズ風になったかと思うと、繊細な音楽になったりという、その変遷の尋常ではない激しさを、アーノンクールは、見事に描き分け、全体の造型をいささかも損なうことなく、しっかりと纏め上げた手腕はさすがという他はない。

評論家の中には、この作品を「ミュージカル」と揶揄した人もいたが、『ポーギーとべス』がすばらしいオペラの名作であることを改めて確認させてくれた名演である。

最初に聴くべき全曲版ではないかもしれないが、現行版を良く知る人には大変興味深い演奏内容であることは確かだ。

歌手陣には、すべて黒人歌手を起用したとのことであるが、これまたいずれ劣らぬ名唱を披露していると言える。

アルノルト・シェーンベルク合唱団による合唱も見事であり、本名演に大いなる華を添える結果となっていることを見過ごしてはならない。

録音も、ライヴとは思えない程に鮮明で、総じて素晴らしい出来栄えであると言えよう。

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classicalmusic at 21:16コメント(2)ガーシュウィン | アーノンクール 

コメント一覧

1. Posted by le chat noir   2022年06月25日 04:53
5 オペラと言えば、「修道女アンジェリカ」と
「カヴァレリア・ルスティカーナ」の広告を
駅で見つけました。
聴いたことないですが、抒情的でいいオペラ
なのかな、と思いました。
ガーシュインにもチャレンジしてみたいです。
良い週末をお過ごしください。
2. Posted by 和田   2022年06月25日 08:33
お疲れ様です。オペラに関心を持っておられているようでとても嬉しく思います。かの小島晶二先生すら全くオペラを視聴しないという持論の持ち主ですから。以下長くなりますので、適当に読み飛ばしてください(笑)。『雨夜の品定め 名作オペラのベストキャストは!? 』(黒田恭一著)は私の愛読書です。文章は彼らしく平易で独特のユーモアが感じられますが、登場人物の役柄への観察は鋭く、また歌手に対して要求する条件もかなり厳しいです。例えばカルメンやトスカに求められているのは歌唱技術ではなく、女優としての表現力だとしています。いくら美声に恵まれた歌手でも、そうした条件を満たすのは並大抵ではありませんが、当然そこにはマリア・カラスの名前が挙がります。一方ヴォータンの理想はハンス・ホッターで、軽く明るいバス・バリトンで歌われる最近の風潮をからかって「わからずや親父の癇癪」にしか聞こえないと皮肉っているのは痛快です。またドン・ジョヴァンニでは個人的な出会いを認めながらチェーザレ・シエピに軍配を上げています。いずれにしても、どれほど優れた歌手を主役に据えても、指揮者、オーケストラ及び脇役が手薄ではオペラは盛り上がりませんし、また役によってはその人物の解釈の仕方が一通りでない場合もあります。そうした事情もあって、過去に録音されたものから一曲のオペラにつきベスト・キャスト盤を一組だけ選考するのは実際困難で、本書でも複数のディスクが考慮されています。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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