2012年12月25日

ゲルギエフのショスタコーヴィチ:交響曲第8番


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万人に訴えかける説得力を備えたゲルギエフとマリインスキー劇場管弦楽団によるショスタコーヴィチ交響曲シリーズの第1作にあたるこの演奏は、1994年にヨーロッパ楽旅を行った際に録音された。

ショスタコーヴィチの「第8」は、初演者で献呈者でもあるムラヴィンスキーによる超弩級の名演(1982年盤)があるだけに、他のいかなる演奏を持ってきても物足りなさを感じるのは否めない事実である。

そのような中にあって、本盤のゲルギエフ盤は、なかなかに健闘しており、部分的にはムラヴィンスキーを凌駕する箇所も散見される点を考慮すれば、名演と評価しても過言ではないものと思われる。

第1楽章は、ゲルギエフにしては随分と抑制された表現で開始されるが、その後の展開部では一転して、金管楽器による最強奏が炸裂する。

要は、冒頭の抑制された表現は、楽曲全体を見据えた上での計算された解釈ということであり、ここに俊英ゲルギエフのしたたかさがあらわれていると言える。

展開部終了後のイングリッシュ・ホルンは美しさの極みであるが、終結部のトランペットの絶叫はいささか凡庸のような気がした。

第2楽章は、ゲルギエフとしては普通の出来で、ゲルギエフならば、もう一段次元の高い演奏を望みたい。

第3楽章は、本演奏の中では問題が多いと言える。

丸みを帯びたリズムの刻み方はいかにも生ぬるく、これでは、この楽章の狂気は表現できないと思う。

しかしながら、終結部のティンパニの重量感溢れる強打は他のどの演奏よりも最高のド迫力。

続く第4楽章は本名演の白眉。

ピアニッシモを意識するあまり殆ど聴き取れないような軟弱な演奏が散見される中で、切々たる心の痛みを、力強さをいささかも損なうことなく気高く描いていくのは、俊英ゲルギエフならではの至芸と言えよう。

終楽章のシニカルな喜劇も、隙のない卓越した表現で描き、いわゆる「強制された平和」のうちに全曲を締めくくるのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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