2012年12月28日
フェルメールSQのバルトーク:弦楽四重奏曲全集
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バルトークの6曲の弦楽四重奏曲は、ベートーヴェンが作曲した16曲の弦楽四重奏曲にも匹敵する殊玉の傑作である。
必ずしも親しみやすい作品とは言えないが、自ら足を運んで採取したハンガリーの民謡などを高い次元で昇華させて効果的に活用するとともに、前衛的な作風をも盛り込んでおり、弦楽四重奏曲という形式の可能性を最大限に発揮させた、非常に充実した内容を誇る音楽であると言える。
作曲年代が、バルトークの初期から後期へと多岐に渡っている点も、ベートーヴェンのそれと同様である。
これだけの傑作だけに、これまで様々な弦楽四重奏団によって数多くの録音がなされてきたが、本盤のフェルメール四重奏団による演奏も素晴らしい名演であると高く評価したい。
演奏の特徴を一言で言えば、非常にわかりやすい明快な演奏と言えるのではなかろうか。
もちろん、だからといって明快さ一辺倒ではなく、緩徐楽章などにおける悲劇的な表情にもいささかの不足も感じられないが、どこをとっても曖昧模糊な感じがしないのが素晴らしい。
およそ気分とか即興性とかに無関係な、計算され尽くした演奏で、細部に至るまで実に丁寧に表現されている。
まさに、バルトークがスコアに記した複雑な音型を完璧に表現している点が見事だ。
その分聴き手にも息詰まる緊迫感を強いる演奏だが、決して飽きることはない。
これほどの質の演奏を成し遂げるには、一流の団体をもってしても、大変な研究と練習量を必要としたことであろう。
フェルメール四重奏団の熱意とバルトークへの愛情に敬意を表したい。
録音も非常に鮮明であり、ナクソスならではの低価格を考慮すれば、費用対効果の観点からも、本盤の価値は相当に高いものと言える。
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