2013年01月05日
ティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンのブルックナー:交響曲第8番(2009 live)
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ティーレマン渾身の名演である。
ティーレマンのブルックナーといえば、ミュンヘン・フィルの芸術監督に就任した際の「第5」が脳裏に浮かぶが、それが名演だっただけに、「第5」に続く続編が長く待たれていたところであった。
そのような中で、本盤の名演の登場は、これまでの渇きを癒すのに十分であると言えるだろう。
そもそもハース版を使用したところに、ティーレマンの同曲への強いこだわりを感じさせる。
ハース版の使用にこだわった指揮者としては、ヴァントや朝比奈が掲げられるが、ティーレマンはヴァントの数々の名演に示唆を受けたのではないかと思われる。
というのも、ヴァントと同様に金管楽器を無機的になる寸前に至るまで最強奏させているからである。
ただ、ヴァントと決定的に異なるのは、いわゆる凝縮型ではなく(ヴァント最晩年のベルリン・フィル盤はスケール雄大であったが)悠然としたスケールの大きさ。
適時適切なゲネラルパウゼの活用も、そのような傾向を助長する結果に繋がっている。
テンポの変化も最小限に抑えており、この辺りは、ブルックナー演奏の王道を行くアプローチであると言える。
もっとも、個性的な解釈も散見される。
例えば第2楽章。主部の強弱のユニークな付け方は、いささか芝居がかった演出のようなきらいもあるが、恣意的な解釈をとっているように感じられないのは、ティーレマンがブルックナーの「第8」の本質をしっかりと掴み取っているからにほかならない。
SACDマルチチャンネルによる高音質録音も、本盤の価値を大いに高めることに貢献している。
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