2013年01月23日
ジンマンのマーラー:交響曲第9番
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ジンマンのマーラーの交響曲全集は先般完成したところである。
この「第9」であるが、これが意外にも純音楽的なアプローチなのだ。
例えば、死への恐怖と闘いを描いたと言われる第1楽章。
ここでのジンマンは決して荒れ狂ったりせず、どこまでも美しい音楽が紡ぎだされていく。
各楽器のソロも非常にうまく印象的。
過去の名演奏と比較すると影が薄くなるが、丹念にまとめ最後まできれいな音で通した聴き応えのある演奏に仕上がっている。
バーンスタインやテンシュテットなどの演奏に顕著な劇的な要素は影を潜めているが、だからと言って、物足りなさなどをいささかも感じさせないのは、ジンマンの類稀なる音楽性の賜物ではないかと思われる。
第2楽章のレントラー舞曲や第3楽章のブルレスケも、踏み外しはなく、ただただ透徹した美しい音楽が描き出されていく。
このような純音楽的アプローチは、終楽章の生への妄執に至って、ついに抜群の効果を発揮する。
ここでのジンマンの演奏は、至高・至純の美しさを湛えており、ある意味では、数年にわたって作り上げてきたジンマンによるマーラー・チクルスの頂点とも言える高みに達していると言える。
このように劇的要素を抑えた演奏だけに、好き嫌いが分かれるとは思うが、筆者としては、ジンマンの音楽性の豊かさがあらわれた名演と評価したい。
SACDマルチチャンネルによる高音質録音も、本盤の価値を一層高めることに貢献している。
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