2013年01月25日
田部京子のメンデルスゾーン:無言歌集(抜粋)
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メンデルスゾーンの「無言歌集」は、親しみやすい旋律に満ち溢れたロマン派を代表するピアノによる小品集である。
これに比肩できるには、グリーグの「抒情小曲集」であると考えるが、メンデルスゾーンの「無言歌集」にせよ、グリーグの「抒情小曲集」であるにせよ、いずれもあまり名演に恵まれているとは言えないという点においては不思議と共通しているものがある。
そもそも、両者ともに全曲を録音したアルバムというのがほとんどないというのも、作品の質を考えると、実に不思議。
クラシック音楽界の七不思議のひとつとも言えるだろう。
そのような中で、「無言歌集」に、抜粋ではあるが、田部京子による名演アルバムが存在するのは、何という幸せであろうか。
メンデルスゾーンの瑞々しい抒情をあますところなく表現したとして各方面で絶賛され、田部京子の名声を一気に高めることになった「無言歌集」。
田部京子のピアニズムの原点ともいうべき静謐な抒情がアルバム全体を貫いている。
田部京子は、特色ある各曲を女流ピアニストならではの繊細さで、巧みに描き分けていく。
しかも、このような曲を甘美に演奏すると、一種のムード音楽に陥ってしまう危険性もあるが、田部京子の場合はそのような心配は御無用。
高踏的な芸術性を決して失うことがなく、しかも、技巧面や力強さにおいてもいささかの不足はない。
本盤については、これまで高音質化されたCDは発売されていなかったが、今回のBlu-spec-CD盤の登場によって、実に鮮明な音質に生まれ変わった。
田部京子の力強くも繊細なタッチを鮮明な音質で味わうことができることを大いに喜びたい。
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