2013年01月14日
朝比奈隆&ベルリン・ドイツ響のベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
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同年齢のカラヤンが鬼籍に入ってから2カ月後に、カラヤンの本拠地のベルリン・フィルハーモニー・ホールで行った演奏会の記録である。
ベルリンでの名演の一報は、かつて音楽雑誌の海外報道欄で読んでいたので、このCDは発売早々に購入したが、演奏は予想を上回る名演。
特に金管と低弦の充実ぶりは、残念ながら当時の国内オケでは期待できない高レベル。
もう少し言えば、例えば晩年のクーベリックがバイエルン放送響で放ったモーツァルト後期群を聴くような、一時代前の演奏の凄みととでも言うべきか、曲を掌中に収め、テンポと響きの関係をわきまえた老獪な仕事である。
朝比奈は最晩年、カラヤンを評して、「カラヤンはすごい人だったけれど、長生きでは私が勝ったな。」と意味深長な発言を行っていたが、カラヤンと同年齢でありながら、演奏の優劣はさておき、その「エロイカ」の演奏スタイルは全く対照的だ。
ベルリン・ドイツ交響楽団は、良い指揮者を得た場合には、ベルリン・フィルに匹敵するとまでは言えないものの、かなりのハイレベルの演奏を行う楽団であるが、最晩年の朝比奈の指揮だけに、ベルリン・ドイツ交響楽団も見事な好演で応えており、男性的で、剛毅かつ重厚な名演を成し遂げていると言えよう。
テンポは晩年の朝比奈特有の遅さであり、繰り返しもすべて行っているが、それでいて冗長であるとか、もたれるということとは全く無縁であり、「エロイカ」という傑作交響曲の持つ雄大なスケール感を存分に味わうことができるのが素晴らしい。
大阪フィル盤や、新日本フィル盤も良いが、やはりこの盤を聴くと、「ドイツのオケには遥かに及ばないなぁ」と感じてしまう。
朝比奈には、ドイツのオケともっとベートーヴェンやブルックナーを残してほしかったと思わざるを得ない。
音質も非常に鮮明であり、この歴史的名演CDの価値をさらに高めることに貢献している。
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コメント一覧
1. Posted by le chat noir 2022年07月12日 20:43

カラヤン、好きだな。

2. Posted by 和田 2022年07月12日 21:21
そうですね。どんなアンチ・カラヤンの人でも無視できるはずもなく、結局は偉大な存在だったと認めざるを得ませんでしたね。どんな小曲でも全力を尽くしたことが忘れられません。たとえば「軽騎兵」序曲、こんなのをなんで演奏するの?と思っていたファンも多いでしょうが、ベルリン・フィルの冒頭のファンファーレからして思わず知らず納得させられました。どんなにスノッブどもが悪口を言ったところで、その圧倒的な人気があったことは紛れもない事実です。最近発掘されたカラヤンのライヴ録音を聴いてみてください。ガラッと印象が変わります。わざわざ世界中からカラヤンを聴きにくるのを承知していて、手抜き一切なし、ベルリン・フィルが本気になって演奏していたのは、なんだかんだカラヤンの指揮した時だけという厳然たる事実、それはどんなに貶める者がいたとしても無視するに限ります。iTunesにはクラシック音楽史上最も成功した人物だと紹介しています。それは作曲家も含めてですし、あらゆる批評家などの雑音を一喝するだけの音のドラマがあります。凄い偉人でした。