2013年01月26日
ミュンシュ&ボストン響のベルリオーズ:幻想交響曲、ルーセル:「バッカスとアリアーヌ」組曲 他 (1960 Tokyo Live)
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1960年5月5日/日比谷公会堂に於けるライヴ(ステレオ)録音。
ミュンシュ&ボストン交響楽団の来日公演は、1996年に故黒田恭一氏の「20世紀の名演奏」で聴いたが、幻想交響曲はミュンシュの十八番中の十八番で、手兵ボストン響とのスタジオ録音とは別人のように燃えており、ライヴならではの熱気が爆発した超名演だ。
ミュンシュのベルリオーズは格別であり、先にDVDになった日本フィルとのライヴ同様、幻想交響曲の達人が日本でその超十八番を披露した記録として、不滅の価値を持つものである。
ただ単に歴史的名演、熱演というだけでなく、指揮者と作曲家、指揮者と作品とが特別な絆で結ばれている、そんな感慨に浸らせるライヴである。
ドラマティックな解釈も素晴らしいし、演奏にかける情熱、覚悟にもただならぬ気配が充満しているが、その背景には、この名作だけがもつ真実性を全身全霊をかけて明らかにしようとしたミュンシュの使命感があり、それが強烈な説得力となって演奏全体に輝きと起伏とスリルを与えている。
ルーセルは、この曲をミュンシュはボストン響とモノラルでしか録音しておらず、このステレオ録音は貴重で、圧倒的なもの(この曲はミュンシュが初演している)である。
「バッカスとアリアーヌ」組曲はミュンシュ&ボストン響の得意のレパートリーで、この来日公演でも優れた演奏を聴かせてくれた。
何よりも、ミュンシュの明晰で健康な解釈がルーセルの音楽の性格と様式にふさわしく、古代ギリシャの神話の世界が眼前に繰り広げられるようにさえ感じられる。
それは、素朴で力強く、同時に繊細で優美な情感にも不足しない。
ミュンシュがルーセルの作品で遺した名演奏である。
両曲を通して、ボストン響の音色も明るく、輝かしい。
ミュンシュのやる気も前例がないが、オケも傑出、聴き手を演奏芸術の真髄に立ち合わせてくれる。
座右の宝である。
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