2013年11月22日
キーシン&クレメラータ・バルティカのモーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第27番
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キーシン初のピアノ・ソロと指揮者を兼任した録音で、キーシンの確かな円熟を感じさせる名演だ。
ありきたりな表現だが、強靭な打鍵と鍛え上げたテクニックに、演奏家のセンスの良い意思を強く感じさせる緩急、強弱が加わった名演。
第20番にも第27番にも言えることであるが、キーシンは、実に精緻で丁寧な表現を心がけているように思う。
キーシンにとって初となる弾き振りだけに、慎重になったということもあるのだろう。
クレーメルとの競演で名をあげているクレメラータ・バルティカも、キーシンの指揮の下、ある種の静けささえ感じさせるような落ち着いた演奏を行っている。
しかしながら、キーシンは必ずしも安全運転だけに終始はしていない。
彼は力強くも、濁りのない凛とした音色で進んでいく。
決然として迷いのない独白を聴くかのようだ。
時折見せる力強い打鍵や、モーツァルトの音楽特有の高貴にして優美かつ繊細な抒情の表現にもいささかの不足はない。
要は、いい意味での剛柔バランスのとれた演奏を行っていると言える。
キーシンも、40歳に差し掛かろうとしており、神童と言われ、どのような弾き方も許される時代はとうに過ぎ去ったと言えるが、本名演を耳にして、キーシンも、更なる芸術家としての高みに向けて、確かな一歩を踏み出していることを大いに確信した次第である。
モーツァルトの大傑作にまた一枚名盤が加わったことを大いに喜びたい。
数年前に発売された第24番も名演であったが、残るナンバーである第21〜23番や第25、第26番も、ぜひとも、本盤で見せた円熟のキーシンの至芸で聴いてみたいと思う。
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