2013年02月13日
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィルのブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
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はじめに、筆者は、必ずしもチェリビダッケの良い聴き手ではないということを告白しておかなければならない。
同業他者への罵詈雑言の数々、生前に録音を殆ど許可しなかった(海賊盤しか手に入らなかった)という異常なまでのこだわり、そして、あのハリー・ポッターのマルフォイをそのまま大人にしたような傲岸不遜な風貌も相まって、どうもチェリビダッケには、胡散臭さを感じていたというのが正直なところだ。
チェリビダッケの没後、漸く少なからぬライヴ録音が発売されたが、玉石混交。
あの異常なまでのスローテンポに(すべてとは言わないが)、どうしても必然性が感じられなかった。
チェリビダッケのファンからすれば、聴く耳がないと怒られそうだが、人それぞれに好みや感じ方があるので、それは仕方がないのではないかと思っている次第だ。
しかしながら、数年前に発売された、来日時のブルックナーの「第5」を聴いて、歳をとったせいで丸くなったという面も無きにしも非ずだが、漸く、チェリビダッケの芸術というものへの理解が少し出来たような気がした。
そして聴いた本盤の「第4」。
確かに、常識はずれのスローテンポではあるが、少なくとも、かつて聴いたミュンヘン・フィルとのライヴ録音の時のようにもたれるというようなことはなく、心ゆくまで演奏を堪能することができた。
チェリビダッケのブルックナー演奏の性格を一言で言えば、光彩陸離たる豊穣さと言えるのではないか。
どこをとっても隙間風の吹かない重厚さ、壮麗さが支配しており、どんなに金管楽器を最強奏させても、無機的には陥らない。
それでいて、抒情的な箇所の最弱音も、いわゆる痩せたりするということは皆無であり、常に意味のある高踏的な音が鳴り切っている。
これぞ、究極のオーケストラ演奏と高く評価したい。
確かに、通例のブルックナーの演奏からすれば異端とも言えるところであり、これは、あくまでもチェリビダッケの個の世界にあるブルックナーということになるのかもしれない。
それ故に、かつての筆者のように抵抗感を示す聴き手もいるとは思うが、これだけ堪能させてくれれば文句は言えまい。
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