2013年02月16日
ワイセンベルクのショパン:ノクターン選集
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ブルガリア出身のフランスのピアニスト、ワイセンベルク40歳の頃の録音。
LPのときは独自の曲順となっていたが、ここでは21曲の夜想曲から、13曲を抜きだして作品番号順に収めている。
若き日のワイセンベルクによるショパンのノクターン集であるが、いかにもワイセンベルクらしい明晰でなおかつ耽美的なアプローチを示している。
正確で極めてオーソドックスな解釈であり、過剰な表情づけを排した端正な演奏と言える。
もちろん、例えば第7番など、力強い打鍵も時折垣間見せはするが、全体的に見れば、重厚さとは殆ど無縁の柔和で繊細なイメージが支配していると言える。
したがって、一部の音楽評論家によっては、女々しいとか不健康な官能美などと言った、ピアニストとしては決して有り難くない酷評をされているのも、あながち言い過ぎではないものと思われる。
確かに、ノクターンは、ショパンのあまたのピアノ曲の中でも優美かつロマンティックな要素を持った楽曲ではあるが、それをそのまま等身大に演奏してしまうと、単なる陳腐なサロン音楽と化してしまう危険性がある。
ショパンの音楽に、こうしたサロン的な要素があることを否定するものでは全くないが、むしろ、ショパンは、仮にノクターンのような小曲であったとしても、より高踏的な芸術作品を志向して作曲されたものと考えるべきではなかろうか。
そのような観点からすれば、やはりワイセンベルクのような軟弱とも言えるアプローチにはいささか疑問を感じざるを得ない。
いずれにしても、ノクターンというショパンの芸術作品に内包するエッセンスである詩的な情緒や情感を我々聴き手に伝えるには到底至っておらず、うわべだけを取り繕ったなよなよとした浅薄な演奏に陥ってしまっているのは、はなはだ残念な限りだ。
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