2014年01月03日
トロップのチャイコフスキー:四季/ラフマニノフ:幻想的小品集
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ロシア・ピアニズムを体現する名匠として認知度が高まるトロップによるチャイコフスキーとラフマニノフの代表的なピアノ作品。
ロシアの12ヶ月を詩情豊かに描いた「四季」における静謐の中に万感を込めたタッチ、対照的に激しい感情の起伏と豊かな歌謡性を特徴とするラフマニノフの見事な表現。
まさに両曲の代表的名盤と呼べるものだ。
両作曲家の弾き分けも見事であるが、隅々にまで行き届いた精緻な表現力には言葉を失う。
ラフマニノフに於けるダイナミズムもさることながら、チャイコフスキーの静謐な美しさに強く心惹かれる。
ロシアのピアニズムと言うと、リヒテルやギレリスなど、ロシアの悠久の大地を思わせるような圧倒的な技量と重量感溢れる演奏を旨とするピアニストによるスケール雄大な演奏が思い浮かぶ。
これらの重量級のピアニストに対して、トロップの演奏は、ある意味では柔和とさえ言えるものだ。
ロシア音楽は、重量感溢れる力強さとともに、メランコリックな情感の豊かさが持ち味と言えるが、トロップのアプローチは、どちらかと言うと、後者のロシア的な抒情を情感豊かに歌いあげることに主眼を置いたアプローチであると言える。
特に、チャイコフスキーの「四季」に顕著であり、静謐ささえ感じさせるような詩情豊かな演奏は、これまで何度も聴いてきた同曲の知られざる魅力を感じさせるのに十分である。
これに対して、ラフマニノフの「幻想的小品集」も、あくまでも基本的なアプローチは、チャイコフスキーと変わらないとは思うが、例えば、有名な「鐘」などにおける、ここぞと言う時の力強い打鍵による圧倒的な迫力の凄まじさ。
こうした激しい感情の起伏と豊かな歌謡性を兼ね備えた演奏は、トロップがロシアのピアニストであることを改めて認識させてくれる。
Blu-spec-CD化によって、音質により鮮明さを増した点も評価したい。
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