2013年02月24日
デュ・プレ&バレンボイムのベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集
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今もなお追慕される夭折の天才デュ・プレが遺した溌剌としたベートーヴェン。
25歳のデュ・プレが1970年のエディンバラ国際音楽祭で遺した奇跡のライヴ録音である。
夫にして最高の理解者であるバレンボイムの慈しむような伴奏との対話を通じて、デュ・プレの天賦の才が溌剌と溢れ出て、純度の高い感動が沸き上がるヴィヴィッドな名演が展開されている。
ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集には、世評では、ロストロポーヴィチ&リヒテル盤と、フルニエ&ケンプ盤が双璧の名演と言われ、これまで多くの評論家の間で、両盤の優劣について様々な批評の応酬がなされてきた。
確かに、両名演は素晴らしい。
どちらの名演にもそれぞれ素晴らしい点があり、筆者としても、どちらかに軍配を上げるということははっきり言って不可能だ。
それ以外にも様々な名演があるが、やはり、この両盤に敵うものではないといったところではないだろうか。
本盤は、録音がこの当時のものとしては悪いという難点はあるが、演奏内容だけをとれば、この両盤に何とか対抗し得るだけの名演と評価できるのではないかと考えている。
それは、デュ・プレの命懸けの気迫溢れる演奏によるところが大きい。
デュ・プレが、悪魔のような病を発症する直前の演奏であることもあり、何かに取り憑かれたような底知れぬ情念のようなものを感じさせる。
こうしたデュ・プレの驚異的なチェロを力強くサポートした、当時の夫であるバレンボイムも、重量感溢れる力強い演奏を行っている。
そして、その後の、デュ・プレの悲劇を思うと、演奏以上の感動を覚えるのも、筆者だけではないと考える。
ここにはもはやベートーヴェンすら存在せず、ひたすらアンサンブルの愉悦だけが存在しているのだと思わされる、悲しくも素晴らしいデュ・プレの遺産である。
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