2013年03月22日
小澤&サイトウ・キネンのベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
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小澤のベートーヴェンは、特に古株の評論家からは著しく評判が悪い。
確かに、音楽に精神的な深みを求める聴き手からすれば、いささか物足りない気がするのも事実である。
しかしながら、本盤のような極上の高音質のSACDを聴けば、評判を落としているのは、これまで発売されたCDの音質によるのではないかと思えてくる。
それくらい、本盤は、これまで発売されたCDと比較して、音質の差が著しいと言える。
本演奏については、既にマルチチャンネル付きのSACDが発売されているが、本盤の方がはるかに上を行くと言える。
本演奏が浅薄な演奏と言われていた所以は、特に第3楽章のせかせかとした進行や、終楽章の歓喜の主題の直前の2つの和音の無機的な響きなどによると思われるが、前者については、本盤を聴くと、必ずしも浅薄なものではないことがよくわかる。
テンポは速いが、歌うべきところはよく歌い、楽曲全体での本楽章の位置づけをよく考え抜いたアプローチをしていることが理解できる。
終楽章の無機的な和音については、本盤を持ってしてもごまかすことはできないが、他方、合唱とオーケストラの分離なども鮮明に捉えられていて、本演奏を非常に素晴らしく、感動的なものに仕立て上げているのに大きく貢献していると言える。
他のベートーヴェンの諸曲についても、仮に本盤のような高音質SACD化をすれば、小澤のベートーヴェンに対する評価も、相当に違ってくるのではなかろうか。
筆者としては、クラシック音楽は基本的にライヴ演奏会で聴くべきだと思うが、ホールや座席の関係でベストの状態で聴けるとは限らない。
そういう点を考えるとSACDでの鑑賞は新しいクラシック音楽の楽しみ方を提供してくれるものだと思う。
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