2022年08月02日
モーツァルトの畢生の名作をこれ以上は求め得ないような透徹した表現で弾き抜いた内田光子&クリーヴランド管のピアノ協奏曲第20番&第27番
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内田光子の円熟を感じさせる素晴らしい名演だ。
内田はモーツァルトのピアノ協奏曲全集をジェフリー・テイトと組んで録音していた。
それは内田光子の名声を確固たるものとする名演であったが、本盤が登場するに及んで、すっかりと影に隠れてしまった。
それほどまでに、内田光子のこの約20年にも及ぶ道程は、きわめて意義深いものであったと言える。
モーツァルトの傷つきやすい繊細な抒情を、これほどまでに意味深く演奏した例は過去にあったであろうか。
第20番など、何気なく開始されるのに、聴き進むに及んで、音楽の内面から浮かび上がってくるモーツァルト渾身の魂の響きは、あまりにも繊細にして優美であり、涙なしでは聴けないほど感動的だ。
内田光子の弾き振りであるが、クリーヴランド管弦楽団も、内田光子の繊細なピアノに符合した、実に内容豊かでコクのある演奏をしているのが素晴らしい。
第27番も素晴らしい超名演。
モーツァルトの畢生の名作を、これ以上は求め得ないような透徹した表現で弾き抜いている。
繊細な抒情に加えて、ここぞという時の力強さにもいささかの不足はないが、それでいて、時折見られる効果的な間の取り方は、殆ど名人芸の域に達している。
これは、内田光子としても、前録音から約20年を経て漸く到達し得た至高・至純の境地と言えるだろう。
鮮明な高音質も、本名演に華を添えることになっており、高く評価すべきものと考える。
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