2013年03月15日

ラトル&ベルリン・フィル/マーラー:交響曲第10番(クック版)


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1999年9月24日と25日、ベルリン・フィルの次期芸術監督(2001年〜)に指名されたラトルが、指名後はじめてベルリン・フィルを振って大成功を収めた演奏会のライヴ録音。

未来の手兵との御披露目にあたって十八番の演目を持ってくるあたり、演奏会と曲目は指名を受ける以前から決まっていたとはいえ、何とも幸先の良いスタートを切れたようだ。

このクック版に対するラトルの思い入れは有名で、同版に大幅に手を入れて用いたザンデルリンク盤を聴いてその可能性に開眼、自身も手を加え、EMIへの専属初録音にこの曲を選んでその存在を強くアピール、以後も再三この版を取り上げ、トレードマークとも言うべき得意演目に熟成させたことはよく知られるところ。

ベルリン・フィルとは1996年にも演奏しており、双方まさに満を持しての録音と言え、オケの圧倒的な技量差もあって、旧録音をはるかにしのぐ切れ味鋭い見事な演奏を聴かせてくれる。

イギリスの音楽学者デリック・クックが復元したせいかドイツ系の指揮者は敬遠したがるこのクック版「第10」だが、これはマーラーのオリジナル交響曲を凌駕する点も少なくない感動的な作品だ。

しかもニューヨークでの体験すら盛り込まれているこの未完のスコアには、時代の先端を行く都市生活者の苦悩から、時代遅れの神への信仰にしがみつくロマン主義者の夢までが、引っ越し荷物をほどかないままのトランクのようにビッシリ詰まっている。

そんな汎世界的で汎時代的な“20世紀の音楽”は、イギリス出身で新世代を担う指揮者ラトルにはまさにピッタリの素材。

シベリウスからブリテンまでを視野に入れて感動的に紡がれてゆく名演が聴ける。

個人的な聴き比べについて述べさせてもらうと、ザンデルリンクは明晰過ぎて四角四面、ギーレンは優秀録音でとにかく美しいが学者肌の冷淡さを感じ、ともに「この曲をかなり割り切って考えている節」が馴染めず、筆者には深く心に響かなかった。

それに比べ、ハーディングやこのラトルには、より瞑想的な詩情や寂寥感があると思う。

この曲に込められた生も死も割り切って聴こえる演奏には筆者は合わないようだ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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