2013年10月05日
クレンペラーのドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
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スケールの雄大な異色の名演だ。
確かにユニークだが、この上なく格調高い演奏。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」と言えば、ボヘミア風の民族色豊かな演奏を期待されるところであり、これまでに成し遂げられた名演の多くも、そうした点に主眼を置いてきたような感がある。
しかしながら、クレンペラーには、そのような民族色など、いささかも眼中にはないのではないかと思われる。
クレンペラーは、同曲を、ベートーヴェンやブラームスの大交響曲に接するのと同様のアプローチで、指揮していると言える。
冒頭のおどろおどろしい導入や、弱いティンパニの音色の響かせ方など、いかにもドイツ音楽風の重厚な響きがするし、第3楽章のゆったりとしたインテンポによる進軍も、あたかもブルックナーの交響曲のような重量感のある迫力だ。
遅めのテンポで堂々と、しかし鈍臭くなく、リズムの刻みもしっかりしていて、木管の音色も実に鮮明に響いており素晴らしく、トゥッティの響きは力強くもふくよかで立派。
ひたすらドイツ的な響きを徹底したクレンペラーはすごい。
誰もが思いつくようでそれを実践したのはクレンペラーだけなのだ。
クレンペラーは、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」という国民楽派の交響曲を、ベートーヴェンの交響曲にも匹敵する大芸術作品に引き上げたのだ。
したがって、同曲に、ボヘミア風の民族色豊かな演奏を期待する聴き手からすれば、野暮ったさや場違いな印象を与えることも考えられるが、前述のように国民楽派の範疇にとどまらず、後期ロマン派を代表する至高の芸術作品に引き上げたクレンペラーの功績は、やはり讃えられてしかるべきであろう。
模範的な「新世界より」に飽きてしまった人には特に強く薦めたい。
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