2013年03月21日
テンシュテット&ベルリン・フィルのワーグナー:管弦楽曲集
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テンシュテットの真価を味わうことのできる超絶的名演だ。
本盤の録音は、1980〜1983年であり、これはテンシュテットが咽頭癌で倒れる直前であるが、ここでは、既に、晩年の鬼気迫るような気迫溢れる大熱演が聴かれる。
したがって、ここには、最晩年の病魔と闘うというような凄まじい緊迫感はいまだ感じられないが、それでも、オーケストラを全力で追い立て行く生命力溢れる爆演ぶりは、テンシュテットだけに可能な至芸と言えるだろう。
スタジオ録音でありながら、あたかもライヴ録音であるかのような豪演だ。
こうしたテンシュテットの、オーケストラを追い立てていくような大熱演は、よほどのオーケストラでないと付いて行くのが困難であると思われるが、さすがは天下のベルリン・フィル。
本盤の録音当時は、カラヤンとの関係が最悪の状態にあった時期であり、カラヤンの後継者と目されていたテンシュテットと至高の名演を成し遂げることによって、カラヤンを見返してやろうとの強い意識も働いていたものと思われる。
それ故にかここではベルリン・フィルも、世界一のオーケストラの名に恥じない望み得る最高のパフォーマンスを示している。
テンシュテットは、楽劇全体を意識した緩急自在のテンポ設定や、思い切ったダイナミックレンジの幅の広さが特徴ではあるが、音楽がそうした指揮によって矮小化することなく、スケールの大きさをいささかも損なうことがないのが素晴らしい。
マーラーの演奏で垣間見せるようなテンポの変化は殆どなく、ゆったりとしたインテンポによるスケール雄大なアプローチであり、それでいて、劇的な迫力にもいささかも不足もない。
テンシュテットの圧倒的な統率の下、ベルリン・フィルのうなりあげるような低弦の重量感溢れる迫力やティンパニの雷鳴、天国的な美しさを誇る高弦の囁き、悪魔的な金管の最強奏など、いずれも素晴らしい。
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