2014年03月12日
上岡敏之のシューベルト:ピアノ・ソナタ第21番/ベルク:ピアノ・ソナタ
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2007年のヴッパータール響の初日本公演時にモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き振りし、そのあまりに表情豊かな演奏で観客を驚かせた上岡が、満を持して発表するピアノ・ソロ・アルバム。
ヴッパータール交響楽団との数々の名演で、今や時の指揮者となっている上岡であるが、何と、ピアノ独奏曲を録音したのは大変な驚きである。
しかも、曲目が、内容の深さで知られるシューベルトのピアノソナタ第21番とはさらに驚いた。
このような深みのある楽曲を、自らのピアニストとしてのデビュー曲に選ぶとは、上岡としてもよほど自信があるのだろう。
同曲は、その内容の深さとともに、その後のブルックナーや、さらには新ウィーン楽派に繋がっていくような斬新な響きに満ち溢れているが、カップリング曲として、アルバン・ベルクのピアノ・ソナタを選択した点にも、上岡の同曲への深い理解を感じさせる。
演奏は、ゆったりとしたテンポによる思い入れたっぷりのものであり、これは、上岡が、ヴッパータール交響楽団とともに演奏した数々の交響曲などと共通するアプローチと言える。
第3楽章などでは若干の明るさ、軽快さも感じさせるが、全体としては、暗い音調が支配しており、同曲をここまで深刻に演奏した例は、これまでもなかったのではあるまいか。
したがって、同曲に、ウィーン風の典雅さを期待する聴き手には、相当な批判もされようが、シューベルトの最晩年の心の深層を抉り出すという厳しいアプローチは、同曲の真の魅力を引き出そうという真摯な姿勢として、高く評価すべきものと考える。
録音は、マルチチャンネル付きのSACDであるが、上岡による暗い音調もあって、イマイチ効果を発揮していないと感じた。
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