2013年03月26日
小澤&ボストン響のチャイコフスキー:バレエ<白鳥の湖>全曲
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素晴らしい名演だ。
小澤は、フランス系の音楽を十八番としているが、次いでストラヴィンスキーやプロコフィエフ、そしてチャイコフスキーなどのロシア音楽も得意としている。
本盤の『白鳥の湖』は、小澤がボストン交響楽団の音楽監督に就任後5年を経た時点での録音であるが、ここでは、小澤が手兵ボストン交響楽団をしっかりと掌握し、見事な演奏を聴かせてくれている。
『白鳥の湖』には、アンセルメやデュトワなどのフランス風に洗練された名演もあり、フランス系の音楽を得意とする小澤のアプローチもそのように捉えられがちであるが、必ずしもそうとは言い切れない要素も多い。
洗練はされているものの、自らの師匠でもあるカラヤンのようなドイツ風の重厚さも兼ね備えており、いい意味のバランスのとれた演奏に仕上がっている点を高く評価したい。
演奏内容において特筆すべき点を列挙すると、まずは第1幕第3曲の「情景」における中間部の猛烈なアッチェレランドや、第4曲の「パ・ド・トロワ」の場面毎の描き分けの巧みさ、第5曲の「パ・ド・ドゥー」の1曲目の情感の豊かさ、特に、中間部のヴァイオリンソロの息をのむような美しさ、そして第8曲の「乾杯の踊り」の凄まじい迫力が実に印象的だ。
第2幕の第10曲の有名な「情景」の名旋律は、テンポは速めではあるが、感傷的にはいささかも陥らず、高踏的な美しさを保っているのが素晴らしい。
第13曲の「白鳥たちの踊り」は、ボストン交響楽団の木管楽器の各ソロ奏者の上手さは特筆すべきものがあり、小澤もこれ以上は求め得ないようなムード満点の演奏を行っている。
特に、6曲目の湧き立つようなリズミカルな演奏は出色の出来だ。
第14曲の「情景」の終結部の踏みしめるような粘着質の演奏は圧巻のド迫力。
第3幕では、第17曲及び第18曲のトランペットファンファーレの響かせ方が奥行きがあって実に美しいのが印象的。
第20曲〜第23曲の各ワルツは、まさに小澤の独壇場であり、生命力溢れる力演でありながら、洒落た味わいをいささかも失うことがないという、二律相反する要素を兼ね備えた極上の音楽に仕上がっている。
第4幕の第29曲は、雄渾なスケールであり、圧倒的な迫力の下に全曲を締めくくっている。
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