2013年03月27日
ワルター&ニューヨーク・フィルのマーラー:大地の歌(1960年ライヴ)
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1960年4月16日 ニューヨーク、カーネギー・ホールで行われた“マーラー生誕百年記念祭”のライヴ録音。
ワルターの『大地の歌』と言えば、ウィーン・フィルを指揮した1936年盤と1952年盤の評価が著しく高いため、本盤の評価が極めて低いものにとどまっている。
特に、1952年盤が、モノーラル録音でありながら、英デッカの高音質録音であることもあり、ワルターの師匠の記念祭での『大地の歌』という看板でさえ、あまり通用していないように思われる。
演奏の質は非常に高いだけに、それは大変残念なことのように思われる。
確かに、1952年盤と比較すると、1952年盤がオーケストラの上質さやワルターが最円熟期の録音ということもあり、どうしても本盤の方の分が悪いのは否めない事実であると思うが、本盤には、1952年盤には見られない別次元の魅力があると考えている。
1960年の録音であり、それは死の2年前であるが、全体に、人生の辛酸を舐め尽くした老巨匠だけが表現することが可能な人生の哀感、ペーソスといったものを随所に感じさせる。
特に、「告別」には、そうした切々とした情感に満ち溢れており、ここには、ワルターが人生の最後になって漸く到達した至高・至純の境地が清澄に刻印されていると思われるのである。
ニューヨーク・フィルも、ワルターの統率の下、最高のパフォーマンスを示していると言える。
2人のソリストも水準に達しているが、面白いのは第5楽章の出で、テノールのルイスが2拍早く歌い始めていることである。
ワルターの指揮でもこんな信じられないミスが起こり得るのだ。
このミスを除けばルイスはスタジオ録音のヘフリガーより好ましく、逆に女声歌手はミラーのほうを採りたい。
音質はモノーラルでいま一つだが、ワルターの『大地の歌』は音の一つ一つが完全に身についていて、まことに安心である。
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