2013年04月04日
セル&コンセルトヘボウのベートーヴェン:交響曲第5番<運命>/シベリウス:交響曲第2番
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SHM−CD仕様のSACDシングルレイヤー盤は、2010年の夏頃よりシリーズ化され、既に相当の点数が発売されてきた。
長らくSACDから撤退していたユニバーサルが、このようなシリーズを開催したのは、当年のレコード業界の最高の快挙と言ってもいいところであり、発売されたいずれのCDも、従来発売のCDを凌駕する素晴らしい高音質CDに仕上がっていた。
その中でも、最も音質向上効果が著しいのは、本盤ではないだろうか。
それくらい、従来盤とは次元が異なる素晴らしい音場が展開される。
かつて発売されていたSACDハイブリッド盤は、録音の古さが目立ち、とてもSACDの実力を発揮したものには仕上がっていないだけに、その音質の差は歴然としたものがある。
これが1960年代の録音とは信じられないほどであり、あたかも最新の録音であるかのように感じられるほどだ。
セルは、デッドな録音のCDで聴くと、その解釈も相俟って、血も涙もない冷徹な指揮をするかのように考えられてしまうが、本盤のような高音質CDで聴くと、確かに全体的な造型構築への厳しい姿勢は当然のことであるが、その構築された造型の中で、緩急自在のテンポ設定を行うなど、きわめてフレキシブルに曲想を展開し、まさに血も涙もある非常に情感豊かな指揮をする指揮者であったことを再認識させられる。
ことにシベリウスは素晴らしく、セルの構成と明確な指揮は、この曲をきわめてシンフォニックなスケールの大きなものにしている。
特に、北欧的な深い響きをもった金管の威力には、さすがコンセルトヘボウであると思わせる。
この深い北欧の音があって初めてシベリウスは生きる。
主題の結び合わせとその発展のシンメトリーがシベリウスの生命であるが、セルの演奏はそれが実に緊密であり力強い。
指揮者の実力を再認識させるという意味においても、このような高音質CDの企画は大きな意義があると考える。
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