2013年04月15日
シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデンのマーラー:交響曲第9番/R.シュトラウス:交響詩「死と変容」
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2001年4月20日、ジュゼッペ・シノーポリは『アイーダ』の演奏中に心臓発作で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまった。
ドラマチックな最期を遂げた彼を語る上で、まず真っ先に思い起こされる究極のレパートリーといえば、当時の手兵フィルハーモニア管と作り上げた全集録音(1985〜94年)と、続くドレスデンとの『大地の歌』(1996年)で知られるマーラーをおいてほかにないであろう。
スタジオ盤より3年あまりを経ての第9交響曲。
1992年以来首席指揮者を務めたシュターツカペレ・ドレスデンとのライヴは、極端なテンポ・ルバートを基調とした主情的なアプローチがいっそうの深化を遂げ、えもいわれぬ官能と陶酔、トロけるような耽美的世界が繰り広げられている。
1993年録音との端的な違いの顕れとしては、第1楽章がおよそ5分、アダージョも2分以上と、すべての楽章の演奏時間が拡大した結果、全曲が10分も長くなっていることが挙げられる。
シノーポリは相変わらずテンポを揺らし、ピアノ指示をフォルテで弾かせてみたりしている。
だがこの演奏はそれが恐ろしいくらいはまっていて、全然違和感がない。
それどころかシノーポリの意図する音楽的解釈がこの交響曲の曲想をピタリと合致している。
フィルハーモニア管盤ではやや空回りしてた感があるが、オケの自力の差だろうか、かなりの説得力をもって語りかけてくる。
一方、当楽団ととりわけゆかりの深いR.シュトラウスはシノーポリが世を去る3ヶ月前のもの。
いくつかのオペラや『英雄の生涯』『アルプス交響曲』など主要な管弦楽作品を録音している当コンビであるが、『死と変容』はこの顔合わせでは初めて。
なるほど『シュトラウスのオケ』シュターツカペレ・ドレスデン。
こちらも匂い立つような色気がそこかしこに充満して、浄化の動機が歌われるあたり時に退廃的な美を醸し出して替え難い魅力がある。
いずれにしてもシノーポリのアクの強さもさることながら、“どこまでも精緻で表情も濃厚”、このオケの底知れぬポテンシャルにはまったく驚かされる。
ここに聴く内容から想像するに、シノーポリ&ドレスデンはまだまだ恐ろしく凄絶な音楽をやってのけたであろうはずで、突然の死が惜しまれてならない。
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コメント一覧
1. Posted by Kapell 2012年05月07日 09:09
拙ブログへのご訪問、有難うございます。
シノーポリ/SKDのマーラー9番、貴記事を拝見して、早速ネットで注文致しました。シノーポリのマーラーは、5番・6番等を聴いて興味があった処に、SKDとなれば是非とも聴いてみたくなります。
シノーポリ/SKDのマーラー9番、貴記事を拝見して、早速ネットで注文致しました。シノーポリのマーラーは、5番・6番等を聴いて興味があった処に、SKDとなれば是非とも聴いてみたくなります。
2. Posted by 和田 2012年05月07日 11:34
Kapellさん、コメントありがとうございます。
数年前、シノーポリ&フィルハーモニア管のマーラー交響曲全集が、価格破壊かと思うほど安かったので、購入しましたが、全体の出来はイマイチ。
この前拙ブログで紹介したシュトゥットガルト放送響との第3,6,10番のライヴは素晴らしかったです。
またのコメントお待ちしております。
数年前、シノーポリ&フィルハーモニア管のマーラー交響曲全集が、価格破壊かと思うほど安かったので、購入しましたが、全体の出来はイマイチ。
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またのコメントお待ちしております。