2013年12月08日
シフのシューベルト:即興曲集、楽興の時、他
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
シフは、シューベルトのピアノ・ソナタ全集を録音するなど、シューベルトを得意としているが、本盤は、シューベルトのピアノ曲の小品のほとんどを収録した好企画CDである。
シフは、コチシュなどとともに、ハンガリー出身の若手ピアニストとして、その将来を嘱望されていたが、当初は、コチシュなどとは異なり決して目立つ存在ではなかった。
しかしながら、コチシュが、バルトークなどのハンガリー音楽のスペシャリストとして成長していく一方で、シフは、本盤のシューベルトやスカルラッティ、ブラームスなどにレパートリーを拡げることに伴って、その才能をますます開花することになり、その名声においては、現在ではコチシュにも匹敵する存在となっているのは論を待たないところである。
シフには、コチシュのような強烈な個性はないが、作品に内在する音楽の魅力を最大限に発揮させるという真摯な姿勢が、演奏に潤いと情感の豊かさを与えている点を高く評価したい。
本盤は、そうしたシフの長所がプラスに働いた名演と言える。
シフはベーゼンドルファーを用いてシューベルトの抒情的な特質を最も純粋な形で表現し、新鮮な演奏を展開している。
ここには、例えば内田光子などの精神的な深さや、リリー・クラウスのようなチャーミングな魅力はないが、作品の持つ抒情性や清澄な詩情を存分に味わわせてくれるという意味においては、他の名演にもいささかも劣らない高次元の演奏に仕上がっていると言える。
本盤は、今から約20年も前の録音であるが、仮に、現時点で再録音すれば、さらに深みのある演奏が出来るのではないか。
その意味でも、再録音を大いに期待したい。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。