2013年04月20日
ヒコックスのホルスト:管弦楽作品集
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組曲「惑星」や、ブラスバンドのための組曲第1番、第2番のみがあまりにも有名で、他の数多くの諸作品が殆ど無視されているホルストの管弦楽作品を世に知らしめるという意味でも、大変に意義のある本CDの登場を先ずは大いに歓迎したい。
加えて、本CDは、ヒコックスの最後の録音ということであり、イギリス音楽の国際的認知に多大な貢献してきたヒコックスとしても、その集大成と言える畢生の名演と言える。
筆者としては、いずれの楽曲も、かつてグローヴス盤やプレヴィン盤等で聴いて以来、久々に耳にすることになったが、素晴らしい名作との感想をあらためて抱くことになった。
これには、ホルストの作品の質の高さもさることながら、ヒコックスの卓越した指揮によるところも大きいのではないかと考える。
最初の歌劇「どこまでも馬鹿な男」については、当該歌劇の中からバレエ音楽を抜粋したものであるが、劇的な迫力から繊細な抒情に至るまで実に多面的な表情を見せる内容豊かな作品であり、歌劇全体に聴き手をいざなっていくという意味でも、見事な抜粋であると言える。
「金色のガチョウ」は、随所に聴かれる惑星のような華麗なオーケストレーションにどうしても耳が奪われがちであるが、それ以上に合唱が美しさの極み。
その合唱の美しくも壮麗な威容は、あたかもイギリスの教会の中で鑑賞しているかのような錯覚を覚えるほどだ。
バレエ音楽「ルール」は、場面毎の感情の起伏が激しい劇的な名作であるが、ここでも、ホルストの華麗なオーケストレーションは健在だ。
「新年の朝」は、冒頭のホルンと低弦等による深みのある音楽が印象的。
そこにどこからともなく入ってくる清澄な合唱は、木漏れ日の光のような繊細な美しさで、あらためて、ホルストの作曲技法の巧みさを認識させられる。
その後は、どちらかと言うと静寂が支配する楽曲ではあるが、合唱は「金色のガチョウ」と同様で美しさの極みであり、華麗なオーケストレーションと相俟って、至高・至純の音楽を構築していると言える。
録音も素晴らしい。
SACDマルチチャンネルによる極上の高音質録音によって、ホルストの華麗なオーケストレーションや壮麗な合唱を鮮明な音質で味わうことができるのも、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している点を忘れてはなるまい。
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