2013年04月21日
小澤&ボストン響のチャイコフスキー:交響曲第5番
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若き日の小澤による爽快な名演だ。
小澤は、フランス系の音楽を十八番とするとともに、ロシア音楽を得意としている。
特に、チャイコフスキーには特別な愛着を抱いているようで、昨年の手術後の復帰の際の、サイトウキネンオケとのコンサートの演目に、弦楽セレナードを選んだほどだ。
チャイコフスキーの「第5」については、後年にベルリン・フィルと再録音しており、当該盤は、ベルリン・フィルの卓抜した力量もあって、素晴らしい名演であった。
したがって、小澤のチャイコフスキーの「第5」といえば、後年のベルリン・フィル盤の方をより上位に置くべきであるが、本盤には、後年のベルリン・フィル盤とは違った魅力があると言える。
それは、生命力に満ち溢れた圧倒的な力強さであり、特に、第1楽章や終楽章等におけるトゥッティに向けた、アッチェレランドなどを駆使した畳み掛けるような気迫においては、新盤を大きく凌駕していると言える。
また、チャイコフスキーだからと言って、重々しくなり過ぎるということはいささかもなく、洗練された優美さが全体を支配しており、その音楽の流れのよどみのなさは爽快とも言えるほどだ。
もちろん、洗練されている、爽快であると言っても、軽妙浮薄などと言った愚に陥ることはなく、どこをとってもコクのある濃密な音楽が紡ぎ出されている点も高く評価したい。
総じて、いい意味での剛柔バランスのとれた名演と言えるのかもしれない。
ボストン交響楽団も、小澤の気迫溢れる統率の下、最高のパフォーマンスを示していると言えるが、特に、第2楽章の首席ホルン奏者であるカヴァロフスキのホルン・ソロは極上の美しさだ。
SHM−CD化によって、音質は鮮明になるとともに、音場は明らかに広くなっており、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。
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