2013年04月24日
マルケヴィチ&ロンドン響のチャイコフスキー:交響曲全集
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素晴らしい名演だ。
マルケヴィチによるチャイコフスキーと言えば、死の2カ月前にNHK交響楽団を指揮して演奏した「悲愴」の超名演が忘れ難いが、その名演のルーツは、壮年期にロンドン交響楽団を指揮して完成させた、本盤に収められた全集にあると言える。
本全集は、かつてフィリップスから発売され、長らく廃盤になっていた(数年前には、その一部が国内盤で発売されたが)。
筆者も、それを所有していたが、CD初期の発売でもあり、当時添付されていたスポンジがCDのレーベル面に付着して、事実上使用不可能になってしまったことから、今回の再発売を機に買い直すことにした。
それにしても、本盤が、発売後、あっという間に入手不可になってしまったというのは、本全集がファンの間で高く支持されている証左と言えるのではないか。
マルケヴィチのチャイコフスキーはとにかく個性的だ。
各楽器の効果的な生かし方やリズムの刻み方、アッチェレランドを含む思い切ったテンポ設定の変化など、あらゆる表現を駆使しており、まさに鬼才の名に相応しい至芸を披露していると言える。
例えば、「第1」の終楽章や「第2」の第1楽章の対旋律の絶妙な生かし方など、はじめて耳にするような新鮮さだ。
それでいて、全体の造型は非常に引き締まったものがあり、その凝縮化された厳格とも言うべき造形美は、かのムラヴィンスキーにも匹敵すると言っても過言ではあるまい。
楽曲によっては、あくまでも他の交響曲の演奏との比較論であるが、「第1」や「第2」のように、洗練された優美さを誇る名演もある一方で、金管楽器の思い切った最強奏(例えば「第4」の第1楽章及び終楽章、「第5」の第1楽章、第2楽章及び終楽章、「悲愴」の第1楽章及び第3楽章など)、ティンパニの迫力満点の強打など、スヴェトラーノフや後年のゲルギエフも顔負けの、ロシア風の土俗的なあくの強さも健在であるが、それらを完璧に音化したロンドン交響楽団の卓抜した技量も大いに賞賛に値すると言える。
録音も、1960年代のものとは思えないような鮮明なものだ。
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