2013年05月03日
クナッパーツブッシュRIAS放送録音全集
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クナッパーツブッシュの既発売のCDは、必ずしも良好とばかりは言えない音質であったと言わざるを得なかった。
ところが、本セットに収められた録音は、既発売のCDとは見違えるような良好な音質に生まれ変わったと言えるところであり、本アウディーテ盤の登場によって、漸くクナッパーツブッシュの芸術の真価を味わうことが可能になったと言っても過言ではないのではないかと考える。
それにしても、本セットの良好な音質で聴くと、クナッパーツブッシュの指揮芸術の桁外れのスケールの大きさをあらためて認識させられる。
ブルックナーの「第9」は、悪名高き改訂版を使用しており、これまでは音質の劣悪さも相俟って、筆者としても歯牙にもかけて来なかった演奏であるが、今般のCD化によって、弦楽器など実に艶やかに響くようになり、見違えるような音質に生まれ変わったのは実に素晴らしいことだ。
改訂版の醜悪さが余計に目立つようになったのはご愛嬌ではあるが、クナッパーツブッシュの懐の深い至芸を良好な音質で味わえるようになった意義は極めて大きい。
なお、本セットには、スタジオ録音とともに2日後のライヴ録音が収められているが、音質の面を加味すれば一長一短と言ったところではないだろうか。
「未完成」は素晴らしい名演だ。
これまでは劣悪な音質故に、気にも留めていなかった演奏であるが、これほどの名演とは思いもしなかった。
深沈たる奥行きのあるスケール雄大な演奏は、巨匠クナッパーツブッシュだけに可能な圧巻の至芸と言えるだろう。
これもスタジオ録音と2日後のライヴ録音が収められているが、音質をも含めると、容易に優劣はつけられない。
ブルックナーの「第8」も、これまではミュンヘン・フィルとの超弩級の名演があることや音質の劣悪さから、殆ど芳しい評価がなされてこなかった演奏であるが、これだけの良好な音質になると、さすがにミュンヘン・フィル盤にはかなわないが、それに肉薄する名演と言ってもいいのではないだろうか。
ベートーヴェンの「第8」とハイドンの「驚愕」は、いずれも見違えるような高音質、特に低弦の重心の低い音色が響くようになったことによって、クナッパーツブッシュの桁外れにスケールの大きい至芸を味わうことができるようになった意義は極めて大きいものと言わざるを得ない。
これだけの高音質になると、テンポの遅さも必然のように思えてくるから実に不思議だ。
小品もいずれも良好な音質に蘇り、いかにスケールの大きい素晴らしい名演であったのかをあらめて認識させられた。
例えば、喜歌劇「千一夜物語」間奏曲のむせかえるような情感豊かな演奏は、何という人間味に溢れているのであろうか。
組曲「くるみ割り人形」のスケール極大な音楽や、「こうもり」序曲の胸にずしんと響いてくるような低弦の重厚な響きは、圧巻の迫力を誇っていると言える。
ピチカート・ポルカやワルツ「バーデン娘」は、まさにクナッパーツブッシュだけに許される桁外れにスケールの大きい芸術的な遊びと高く評価したい。
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