2013年05月05日
マーツァル&チェコ・フィルのマーラー:交響曲第5番
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マーツァルは、チェコ・フィルとともにマーラーの交響曲全集の録音を行っている途上にあるが、「第8」と「大地の歌」、「第10」を残したところで中断してしまっている。
その理由は定かではないが、既に録音された交響曲の中では、本盤に収められた「第5」と「第3」が特に素晴らしい超名演に仕上がっていると言えるところであり、他の交響曲の演奏の水準の高さからしても、是非とも全集を完成して欲しいと考えている。
さて、この「第5」であるが、これが実に素晴らしい名演なのだ。
「第5」の名演と言えば、いの一番に念頭に浮かぶのがバーンスタイン&ウィーン・フィルによる超名演(1987年)だ。
これは変幻自在のテンポ設定や、思い切った強弱の変化、猛烈なアッチェレランドなどを駆使したドラマティックの極みとも言うべき濃厚な豪演であり、おそらくは同曲に込められた作曲者の絶望感や寂寥感、そしてアルマ・マーラーへの狂おしいような熱愛などを完璧に音化し得た稀有の超名演である。
これに肉薄するのがテンシュテット&ロンドン・フィル(1988年)やプレートル&ウィーン響(1991年)の名演であろう。
ところが、マーツァルの演奏には、そのようなドラマティックな要素や深刻さが微塵も感じられないのだ。
要は、マーラーが試行錯誤の上に作曲した光彩陸離たる華麗なオーケストレーションを、マーツァルは独特の味わい深い音色が持ち味のチェコ・フィルを統率してバランス良く音化し、曲想を明瞭に、そして情感を込めて描き出している。
まさに純音楽に徹した解釈であるが、同じ純音楽的な演奏であっても、ショルティ&シカゴ響(1970年)のような無慈悲なまでの音の暴力にはいささかも陥っていないし、カラヤン&ベルリン・フィル(1973年)のように耽美に過ぎるということもない。
「第5」をいかに美しく、そして情感豊かに演奏するのかということに腐心しているようであり、我々聴き手も聴いている最中から実に幸せな気分に満たされるとともに、聴き終えた後の充足感には尋常ならざるものがある。
いずれにしても本演奏は、前述のバーンスタイン盤などのドラマティックな名演とはあらゆる意味で対極にあるものと言えるが、「第5」の魅力を安定した気持ちで心ゆくまで堪能させてくれるという意味においては、素晴らしい至高の超名演と高く評価したい。
このような純音楽的な名演において、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音は実に効果的であり、本名演の価値を更に高めるのに大きく貢献している点も忘れてはならない。
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