2013年05月07日
アルゲリッチ&デュトワのリスト&ラヴェル:ピアノ協奏曲
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リストの悲愴協奏曲はアルゲリッチとしても非常に珍しい曲目と言えるが、リストのピアノ協奏曲第1番とラヴェルのピアノ協奏曲はアルゲリッチの十八番であり、それこそ何度も演奏を繰り返してきた楽曲である。
本盤はその中でも最も録音が新しいものであるが、いずれも素晴らしい名演と高く評価したい。
アルゲリッチによるリストのピアノ協奏曲第1番の名演として名高いのはアバド&ロンドン交響楽団と組んで行ったスタジオ録音(1968年)であり、ラヴェルのピアノ協奏曲には、アバド&ベルリン・フィルと組んで行ったスタジオ録音(1967年)とアバド&ロンドン交響楽団(1984年)の2種の名演がある。
これ以外にもライヴ録音などがあるのかもしれないが、特に名演とされているのは以上の3つの録音である。
いずれも、指揮者がアバドということで共通していたが、今回の演奏の指揮者は、両曲ともにかつての夫君であるデュトワがつとめている。
そしてオーケストラはデュトワの手兵モントリオール交響楽団であり、加えてライヴ録音である。
前回の録音からリストのピアノ協奏曲第1番については30年、ラヴェルのピアノ協奏曲については13年も経っているが、アルゲリッチのピアニズムの基本は変わっていないように思われる。
アルゲリッチのピアノは自由奔放そのもの。
持ち前の卓越した技量を発揮しつつ、変幻自在のテンポ設定や猛烈なアッチェレランドなどを駆使して、ドラマティックの極みとも言うべきスリリングな演奏を展開している。
強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまで、表現の幅は桁外れに広く、それでいて特にラヴェルのピアノ協奏曲において顕著であるが、同曲の演奏に必要不可欠のセンス満点の瀟洒な味わいにおいてもいささかの不足もない。
アルゲリッチを下支えするデュトワ&モントリオール交響楽団の演奏も見事であり、とりわけラヴェルのピアノ協奏曲については、フランスのオーケストラ以上にフランス風のエスプリ漂う味わい深い演奏を展開しているのが素晴らしい。
また、併録の悲愴協奏曲は、盟友であるネルソン・フレイレとの息が合ったスリリングな激しさと豊かな情感を兼ね備えた稀有の名演と高く評価したい。
録音は、前述のように1997年〜1998年のライヴ録音であり、HQCD化によっていっそう鮮明な高音質に仕上がっている。
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